ランチに羊の脳みそはいかかが?

キャリアコンサルタントが見た世界

はじめてのミャンマーでは、いろいろな人にお世話になった。

その中の一人がミャンマー人のチョウさん。

日本在住25年、合気道5段、日本語ペラペラ。

ミャンマー合気道協会の会長さん。

彼が母国に帰省していた時期に私がミャンマーを訪れたのだ。

私はチョウさんにヤンゴン市内を案内してもらえることになっていた。

しかもクーラーの効いた車で。

でも、2人はこれが初対面である。

 

なぜ、そんなことが可能なのか?

実は、とてもすてきなご縁があった。

いや、すてきなのはチョウさんの奥様のことだ。

かつて、チョウさんの奥様と私は同じ職場だった。

奥様に、私がミャンマーに行くことになったと伝えたところ、チョウさんに案内してもらえるように取り計らってくださった。

奥様の優しい心遣いに感謝し、素直に甘えることにした。

私はいつも人に恵まれている。

自分の周りには必ず誰かがいてくれる。

いつか与える側にならなければ…そう思い続けてすっかりおじさんになってしまった。

いや、まだまだチャンスはあるよね。

 

さて、ヤンゴン市内を案内してくれるチョウさんである。

チョウさんは、まったくの初対面であるにもかかわらず、私のためにいろいろ観光プランを考えてくれていた。

ミャンマーを知ろうとしている人を大切にしているようだった。

これがミャンマー人のホスピタリティなのか。

それとも、彼の性格なのか…。

きっと、両方なのだろう。

ミャンマー人のチョウさん

ミャンマー人のチョウさん

車での観光案内はとてもありがたかった。

11月とはいえ、この時期の日差しは結構強い。

これは現地に行って初めて分かることかもしれない。

 

現地に行く前から心配していたこともある。

それは、私は辛い食べ物が苦手なことだ。

辛い食べ物を食べると滝のように汗が噴き出てくる。

私の舌より体の方が反応してしまう。

だからとても警戒していた。

ガイドブックを見ると、たいていミャンマーの食事は辛いと書いてある。

それは困る。

旅の楽しみは食事にある。

辛い物ばかりでは、旅の楽しみを奪われたも同然だ。

 

朝食は問題なかった。

宿泊先のホテルの朝食は、ビュッフェスタイルだった。

食べたいものを取ればいいのだが、そもそも辛い物はほとんどなかった。

そこはすごく安心した。

 

案内してもらっているうちにお昼の時間になっていた。

「そろそろランチにしましょうか。」

チョウさんがそう言うと車を北へ走らせた。

私が「屋台に行ってみたいのですが。」とリクエストしたところ、

「はじめての人には合わないかもしれませんよ」とのこと。

どういうこと?

チョウさんに聞いてみると、美味しそうに見えるかもしれないけど、衛生面が心配とのこと。

つまり、当たってしまうことがあるそうなのだ。

日本とミャンマーの両方を知るチョウさんの情報に間違いはないだろう。

ここはチョウさんにお任せするしかない。

 

ありがたいことに、チョウさんはお店を用意してくれていた。

お店の名前は「Shwe Ba」。

ここは、美味しくて人気なんだそうだ。

本格的なレストランではないが、美味しいミャンマー料理が気楽に食べられるお店。

「ガイドブックには載っていないから、地元の人しか来ないお店です。」とチョウさん。

そんなお店に行ってみたかった。

 

ランチタイム

レストラン Shwe Ba

 

駐車場には車がビッシリ。

噂に違わず人気店であることが分かる。

チョウさんに「私は辛いものが苦手です。」と言って反応を待った。

「大丈夫ですよ。辛くないものもあります。」とのこと。

経験上、辛いものに慣れている人の「大丈夫」とか「辛くない」は当てにならない。

私はタオルを握りしめた。

 

お店は大変繁盛していた。

ランチタイムということもあるがほぼ満席である。

 

Shwe Ba ランチ

レストラン Shwe Ba は大人気である

 

チョウさんから「何が食べたいですか?」と聞かれたが、そもそも何があるのか分からない。

取りあえず、えびと豚をリクエストして、あとはチョウさんにお任せした。

チョウさんの選んだものの中にはこれも入っていた。

 

ランチ

羊の脳みそ on the ライス

 

これが何だかお分りでしょうか?

分かる方は黒帯ですね。

そう、これは羊の脳みそ。

チョウさんから「これは羊の脳みそです。」と聞いたときは、内心「いやーん!」と叫んでしまった。

まさかはじめてのミャンマーで、羊の脳みそを食べることになろうとは。

もう辛さがどうとか、どうでもよくなってきた。

しばらくの間、私は羊と対峙していたが、覚悟を決めた。

せっかくチョウさんが選んでくれたのだ。

ご厚意に報いなければ。

私は目をつぶって口の中に放り込んだ。

パクパクパク。

???

意外だ。

予想と違う。

悪い感じはしない。

白子をカレーのようなスパイスでアレンジしたような味だ。

米とも合う。

勝手に恐れていたが、それは杞憂だった。

「意外にいけますよ。」と言うと、チョウさんはうれしそうな顔をした。

 

ミャンマーの人は野菜をたくさん食べる。

私も野菜が大好きだ。

チョウさんは野菜をたくさん注文してくれていた。

これはとてもありがたかった。

ミャンマーの人口のうち7割以上が農業従事者だ。

街の市場を見ても野菜がたくさん売られている。

ミャンマーという国は、豊かな食文化を持っていると感じた。

どの野菜も新鮮だ。

私が唯一嫌いな野菜であるナスでさえ、ミャンマーの小さいナスは美味しかった。

レモンの葉も食べた。

スープの具材は冬瓜だった。

 

豪華なランチ

ミャンマーでは新鮮な野菜をたくさん食べる

 

チョウさんが「遠慮しないで食べて食べて」と勧めてくれる。

だから私はたくさん食べた。

ライスもおかわりしてしまった。

本当にたくさん食べた。

もう夕飯は抜きでもいいとさえ思った。

 

味の方は…やっぱり多少の辛さはある。

それに日本人にとっては油の多さも気にならないわけではない。

 

しかし、この味はミャンマーの気候風土に適したものではないかと感じた。

年間を通じて平均最高気温が25度を超える亜熱帯気候なのだ。

食べ物を確保しつづけるためには、それ相応の工夫が必要だろう。

その工夫として使われているのが、油でありスパイスなのだ。

地理的にも、インド、タイ、中国と、辛い料理や油の多い料理を作る国々に囲まれている。

そうした国々からの食文化の影響は当然あるだろう。

 

ヤンゴンのレストランでランチ

大きなエビのカレーは絶品。野菜と一緒に食べるとさらに美味しく。

 

自分の味覚に合うかどうかは当然気になるところではある。

しかし、自分の好みだけで判断していると世界は小さくなっていく。

その土地の食べ物は、その土地の気候風土が大きく影響している。

それをそのまま味わうことが国を知ることに繋がる。

私はチョウさんのおかげで新しい世界を知ることができた。

未知の国ミャンマーは私を歓迎してくれたのだ。

 

ごちそうさまでした。

お腹が膨れた私は、ランチを食べる前の自分ではない。

今はもう、新しい世界に生きている…。

羊の脳みそを食べるという刺激的な初体験は私の気を大きくしていた。

もしこの料理に躊躇している人がいたら、私は優しく伝えたい。

「リラックスして深い海に抱かれていると思えばいい。終わったとき、君は別世界にいる。」

また一つ大人への階段を昇った私は、胸を張って店を出た。

 

 

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このブログの執筆者
西ヶ谷 紀之
国家資格キャリアコンサルタント・社会保険労務士・行政書士
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