第1章

2 リッチー先生との出会い

【約5分で読むことができます】

 

リッチー先生:あおいさんですね?こんにちは。

あおいさん♪:こんにちは。先生、今日はよろしくお願いします。

リッチー先生:こちらこそよろしくお願いします。では早速ですが、あおいさんのお話を伺いましょう。先日のメールでは、クライアントのことでお困りのようでしたが…。

あおいさん♪:そうなんです。クライアントの予想外の行動によって、セッション予定日に穴が開いてしまったり、売上が減ったりしているんです。

リッチー先生:売上が減るのは困りますね。今日は現在お使いの契約書を見せていただくことになっていますが、お持ちですか?

あおいさん♪:持ってきました。こちらです。

リッチー先生:ふむふむ。こちらの契約書はあおいさんが作ったのですか?

あおいさん♪:プロコーチの養成講座でもらった契約書があって、それを参考にして私が作りました。と言ってもほぼそのままですが。

リッチー先生:作った後、誰かにチェックしてもらいましたか?

あおいさん♪:いいえ。

リッチー先生:分かりました。ところで、あおいさんにとって契約書ってどんなイメージですか?

あおいさん♪:え? 契約書のイメージですか?そうですね…、私は法律には詳しくないので難しいイメージがあります。

リッチー先生:なるほど。他にはどんなイメージがありますか?

あおいさん♪:なんとなく冷たいイメージがあります。

リッチー先生:難しくて冷たいイメージなんですね。

あおいさん♪:はい。

リッチー先生:では契約のとき、クライアントに自信を持って契約内容を説明できていますか?

あおいさん♪:うーん、実は、自分の作った契約書の内容がどういうものか全然理解していません。なので正直不安があります。解除と解約の違いも分かっていませんし。だから契約書の説明はほとんどしていません。形だけの同意書のようなものですし、書面を渡してサインだけしてもらうことにしています。いつも内心「何も質問しないでー」って思っています。

リッチー先生:じゃあ、「目をつぶってとっととサインしてーっ」て感じですか?

あおいさん♪:密かにそう思っています。

リッチー先生:もしクライアントが弁護士さんだったらどうしますか?

あおいさん♪:そんな恐ろしいことは想像できません。

リッチー先生:まあ現実的には少ないケースかもしれませんが、悩ましい課題を抱えている弁護士さんも実際にいますからね。

あおいさん♪:でも、法律に詳しい人は困ります。

リッチー先生:では、あおいさんが契約内容を説明している場面にタイトルを付けるとしたら、何てタイトルになりますか?

あおいさん♪:そうですね、『今さら言えない小さな秘密』かな。

リッチー先生:なんだかフランス映画のようですが…、秘密なんですね。

あおいさん♪:そうなんです。

リッチー先生:なるほど。もしかしたら、その不安は他人の契約書を使っていることが原因かもしれませんよ。

あおいさん♪:他人の契約書?

リッチー先生:そうです。他人の契約書というのは、自分のビジネススタイルが反映されていない契約書のことです。

あおいさん♪:一応参考にした契約書は安心できるものだと言われているのですが。

リッチー先生:そうかもしれませんね。では実際、安心して使うことができていますか?

あおいさん♪:それは…。

リッチー先生:ちょっと私の話を聞いてくださいね。私は、コーチ、カウンセラー、キャリアコンサルタントとしてビジネスを始める方から依頼されて、契約書を作成することを仕事にしています。まずはどのようなビジネスを考えているのか聞かせていただいた上で、そのビジネスに合った契約書をゼロから作成します。私自身もキャリアコンサルタント(カウンセラー)&コーチでもあるので、みなさんのビジネスのことはとてもよく分かります。

あおいさん♪:キャリアコンサルティングやコーチングを行う行政書士さんって珍しいですよね。

リッチー先生:そうかもしれないですね。だからこそご依頼をいただけるのだと思っています。ご依頼を受けて契約書を作成したら、その後弁護士さんのチェックを経て、法的に安心できる契約書が完成するんですが…。

あおいさん♪:弁護士さんにお願いすると結構お金がかかるんじゃないですか?

リッチー先生:価格は契約書のボリュームや弁護士さんにもよりますが、チェックだけであれば10万円を超えて請求されることは少ないでしょう。でも、ゼロから契約書の作成をお願いする場合は当然高くなります。

あおいさん♪:やっぱり結構かかるんですね。

リッチー先生:契約書の大切さを理解していない方にとっては高く感じるでしょう。価値があるとは思えないものにお金は使いたくないですよね。

あおいさん♪:契約書が大切ではないと思っているわけではありません。でもお金をかけなくても、私のようにもらった契約書を使うことや、ネットで参考になりそうな契約書を無料で使うこともできますよね?

リッチー先生:できます。

あおいさん♪:それなら無料のものでもいいんじゃないでしょうか?

リッチー先生:誤解があってはいけないのですが、私は使うなと言っているのではありません。これは選択の問題です。

あおいさん♪:選択の問題?

リッチー先生:そうです。他人の契約書を使うのか、自分だけのオリジナルな契約書を使うのか、ただそれだけの話です。私に依頼してくるクライアントたちは、自分だけのオリジナルな契約書を使う理由があるんです。

あおいさん♪:契約書にお金を払うなんてもったいない気がするんですが。

リッチー先生:なるほど。あおいさんは、契約書にお金を払うことはもったいないと思っているんですね。

あおいさん♪:いけませんか?

リッチー先生:これはどちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではありません。何に価値があると信じるのか、という価値観の話です。

あおいさん♪:価値観…。

リッチー先生:価値観、または信念のことです。現時点でのあおいさんは、契約書にお金を払うことはもったいないという価値観を持っていると考えられます。

あおいさん♪:なるほど。

リッチー先生:私はコーチやカウンセラーが売っているものと、契約書を作る法律家が売っているものは同じだと考えています。

あおいさん♪:え?どういうことですか?

リッチー先生:コーチは何を売って利益を得ていますか?

あおいさん♪:売るという表現は抵抗がありますが…。

リッチー先生:では、何を提供して利益を得ていますか?

あおいさん♪:コーチングセッションを提供して利益を得ていると思います。

リッチー先生:コーチングセッションによって、クライアントは何が得られますか?

あおいさん♪:得られる…、問題が解決したり、目標が達成できたり、行動が改善したり、コミュニケーション能力が向上したり…良い方向への変化が得られます。

リッチー先生:なるほど。問題解決、目標達成、行動改善、コミュニケーション能力向上、たしかにこれらは良い方向へと変化するものですね。では、クライアントはこうした変化を得たことによって、さらに何が得られますか?

あおいさん♪:さらに…?そうですね、なりたい自分やより良い人生です。

リッチー先生:コーチは、クライアントのより良い人生や、なりたい自分になるきっかけを提供しているんですね。

あおいさん♪:そうですね。こう考えてみると、やっぱりコーチって良い仕事だなと思います。

リッチー先生:なるほど。あおいさんは、コーチの仕事は良い仕事だと思っているんですね。水を差すようで申し訳ないですが、全ての人がコーチングは良い仕事だと思っているでしょうか?全ての人がコーチングはお金を払って受けるものだと考えているでしょうか?

あおいさん♪:…いいえ。残念ながらコーチングに否定的な人もいます。コーチングにお金を払うべきだとみんなが考えているわけではありません。私の彼でさえ「コーチングって意味あるの?」なんて言いますから。

リッチー先生:あおいさんは、コーチの仕事は良い仕事だという価値観を持っている。一方彼の方は、そうではないということですね。

あおいさん♪:やっぱり私と彼は価値観が違うんですね…。ところで、さきほどリッチー先生が、「私はコーチが売っているものと、契約書を作る法律家が売っているものは同じだと考えています。」とおっしゃっていましたね。その意味を教えていただきたいのですが。

リッチー先生:もちろんです。ただ、すべての法律家が私のように考えているわけではありません。だから、あくまで私自身の考えであることをご理解ください。

あおいさん♪:わかりました。

リッチー先生:私は契約書を作成してクライアントに売ることで利益を得ていますが、契約書という物だけを売っているとは考えていません。この契約書を手にすることによって、法的に守られるという安心感、ライバルよりも良いものを持っているという優越感、お客さまから得られる信頼感、ビジネスが成功する予感やワクワク感、私はこれらの価値を売っているんです。そして、この価値を理解しているクライアントだけが、お金を払ってオリジナルな契約書を手にしてビジネスをしているんです。

あおいさん♪:じゃあ、お聞きしますが、クライアントがこれらの価値を得ることによって、さらに何が得られるんでしょうか?

リッチー先生:ブランドです。

あおいさん♪:ブランド…。

リッチー先生:難しく考える必要はありません。要は、誰かのマネごとではなく、その方だからこそできるビジネスモデルが法的側面からも確立するということです。私は、クライアントが望む結果を得られるように、クライアントの価値を最大限に高めるためのエッセンスを提供し、喜んでいただきたいのです。

あおいさん♪:なるほどですね。とても共感できます。今、コーチやカウンセラーとして独立したときの初心を思い出しました。私もコーチングやカウンセリングによって、クライアントに喜んでいただこうと思っていました。それなのに、いつの間にかクライアントに対する不満やお金のことばかり考えてしまっていて…。

リッチー先生:大丈夫ですよ。ではここで、あおいさんの課題を一度整理してみましょう。

あおいさん♪:お願いします。