第1章

6 弁護士がクライアントでも怖くない!?

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リッチー先生:どのように変わってきましたか?

あおいさん♪:契約書は冷たいものなんかじゃないんだって。自分とクライアントをつなぐ温かいものなんだって。誰かの人生を応援する人が冷たい契約書を使っているなんて、やっぱりおかしいですよね。まずは自分が幸せだと感じられる温かいものであるべきだなって思いました。それに「個性やあなたらしさを大切にしましょう」なんてクライアントにアドバスしている本人が、個性も自分らしさもない契約書を使っているのは大きな矛盾ですよね?

リッチー先生:新たな気づきですね。では、ちょっと想像してみてください。あなたは今、私と一緒に完成させた契約書と同意書を既に持っているとします。それはあなたの思いが入った温かみのある契約書です。どんなことを感じますか?

あおいさん♪:なんだか誇らしいですね。自分のビジネススタイルが反映された契約書を持っていることは、一種のステイタスのように感じます。それに、クライアントから信頼されそうな気がします。これならどんなクライアントであっても契約内容をしっかり説明できそうです。

リッチー先生:では、想像してください。あおいさんのもとに、あるクライアントが訪ねてきました。今日は契約内容を説明してサインをもらう予定になっています。クライアントの職業は弁護士です。どんなことを感じますか?

あおいさん♪:クライアントがどんな職業かは気になりません。私はただ目の前にいるクライアントの人生を応援するだけですから。

リッチー先生:では、そのクライアントに契約内容を説明しているところを見てみましょう。少し離れたあの辺りで、あおいさんがクライアントに契約内容を説明しています。他人になったつもりで眺めてみてください。何が見え、何が聞こえますか?

あおいさん♪:自信を持って説明していますね。姿勢もいいです。

リッチー先生:クライアントの反応はどうですか?

あおいさん♪:笑顔で聞いてくれています。ときどき笑い合いながら、楽しそうな声が聞こえてきます。とてもいい雰囲気です。

リッチー先生:いいですね。あそこで説明しているのは、未来のあなたです。ほんの1時間前のあなたは、クライアントに契約内容を説明することに大きな不安を抱いていた。クライアントが弁護士だなんて恐ろしくて想像できなかった。でも今はどうですか。自信を持って説明している姿を想像することができているではありませんか。想像できるということは、現実にできるということです。あなたは既に、新しい世界に生きているのです。

あおいさん♪:先生、なんだかワクワクしてきました。私、自分の契約書を作ろうと思います。自分だけのオリジナルな契約書と同意書を作って、もっと多くのクライアントに契約内容を説明したくなりました。

リッチー先生:鉄は熱いうちに打て。あおいさん、今すぐその情熱を形にするのです。

 

あおいさんは、『契約書』『同意書』と『対話式条文解説』を鞄の中にしまい、リッチー先生のオフィスを後にした。

こんな経験初めてだった。

たった1時間ほどで自分の悩みが解決してしまうなんて。

リッチー先生のオフィスに向かう時と、後にするときでは全く気持ちが違っていた。

契約内容の説明をあんなに不安がっていたのがウソのようだ。

今はとても自信がある。

クライアントに契約内容を説明することも利益を上げることも。

 

あおいさんは、自宅に戻り『契約書』の第1条に自分の思いをしたためた。

リッチー先生との会話の中でコーチとして独立したときの初心を思い出していたので、文章を作るのにそう時間はかからなかった。

早速リッチー先生に第1条の文章をメールした。

すぐに契約書の文章らしく修正してもらい、あっという間に第1条が完成した。

 

さらに『対話式条文解説』を読みながら『契約書』と『同意書』の意味を理解していった。

『対話式条文解説』は読むだけでも楽しかった。

セクシー条文はもちろん、対話式による解説も面白かった。

一見難しく思われる契約書の条文を物語のように楽しく読むことができた。

リッチー先生は、コーチを守るだけでなく、クライアントの利益にも十分配慮していた。

ルールを厳格に運用してコーチを守るだけでなく、ルールを優しく運用することによってクライアントとの信頼関係を高める方法についても解説していた。

 

不思議な感覚もあった。

たった1条だけかもしれないが、自分で作ってみるとそこにはちゃんと思いが入っている。

思いが入っていると契約書に温かみが感じられてくる。

この感覚は一体何なのだろうか。

若い頃に感じた何かに似ている。

ときめき?…いやちがう。

甘酸っぱい遠い記憶…。

何だろう?

もしかして、ラブレター…?

リッチー先生は契約書をラブレターと考えているのだろうか。

まさか。

でも、この契約書を早くクライアントに見せたい。

この思いを伝えたい。

たしかにそんな気分になってくる。

 

あおいさんは『対話式条文解説』を参考にしながら『契約書』の第2条以下と『同意書』を一部修正した。

自分のビジネススタイルに合わせるためだ。

これもあっという間だった。

「24時間前」を「48時間前」に、「10経過前に」を「20分経過前に」といった感じで、ほとんど数字を変更するだけでいいのだ。

自分には不要と思われる条文もあったので、それは思い切って削除した。

念のため、法務サポートサービスを利用して、リッチー先生にチェックをお願いしたところ、すべて大丈夫とのことだった。

こうして、唯一無二、あおいさんだけのオリジナルな『契約書』と『同意書』が完成した。

 

今はもう、契約内容の説明を避けるなんて、そんなことは考えられない。

契約内容の説明は、自分の人柄やコーチとしての誠実さを見せる大切なセッションだ。

これはクライアントと信頼関係を築くチャンスなのだ。

できる。

自分ならできる。

多くのクライアントとこの温かさを共有することができる。

自分には、自分の思いが入ったこの契約書があるのだから。

あおいさんは、湧き上がる気持ちを抑えながら契約書の第1条を見つめていた。