第2章

1 契約書はクライアントの不安を取り除くためにある!?

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ある土曜日の午後、あおいさんは駅ビルの1階にあるお洒落なカフェにいた。

このカフェは女性に大人気で、今日もほぼ満席である。

全面ガラス張りで華やかな雰囲気だ。

この駅は、JR3路線の他に私鉄が2社、地下鉄が3路線も乗り入れている東京でも有数のビッグターミナルである。

あおいさんは、コンコースを行き交う人びとを眺めながら、この半年間に起きたことを思い出していた。

新しい契約書を使いはじめてから、いろいろな変化があった。

既存のクライアントと新しい契約を組み直したところ、そのうちの何人かは去っていった。

一方、契約期間を延長してくれるクライアントもいた。

新規のクライアントの中には、以前のような行動をする人はいなくなった。

その結果、安定して売上を確保することができるようになった。

それだけではない。

セッション料金を高めに設定したことによって、今までとはクライアントの質が変わってきたのだ。

何というか、理解力が高い人というか、素直な人というか、品があるというか。

あおいさんを困らせるクライアントは確実に減ったのだ。

あおいさんは、そのことについてリッチー先生と話がしたかった。そして、あのことも…。

 

リッチー先生は、コーチ、カウンセラー、キャリアコンサルタントのための契約書を作成しているだけではない。

ミャンマーと日本を行ったり来たりしている。

提携しているミャンマー企業とのビジネスも忙しいようだ。

はじめは入国管理局からミャンマー人エンジニアのために労働ビザを取得したり、彼らを雇用する日本企業の人事労務をサポートしていた。

外国人雇用のコンサルタントとして活躍しているが、今ではコーヒー農園にも出入りしているらしい。

日本にミャンマー産コーヒーを出しているカフェなんてあるのかしら…、そう考えはじめたところにリッチー先生が現れた。

 

リッチー先生:ミンガラーバ!遅くなってすいません。

あおいさん♪:こんにちは。お久しぶりです。あれ?今日帰国だったんですか?

リッチー先生:そうなんです。乗り継ぎのハノイでトラブルがあって、成田への到着が丸1日遅くなってしまいました。

あおいさん♪:連絡していただければ別の日にしたのに。

リッチー先生:いや、いいんですよ。それよりあおいさん、順調のようですね。

あおいさん♪:おかげさまで。ほんと、リッチー先生のおかげです。

リッチー先生:いえいえ、あおいさんが契約書の大切さに気づき、行動したからです。全て、あおいさんの力です。今日は、お話したいことがあるそうですね。

あおいさん♪:そうなんです。実は、新しい契約書を使ってから、変化があったんです。

リッチー先生:なるほど。どんな変化ですか?

あおいさん♪:もしかしたらこんな表現は失礼なのかもしれませんが、クライアントの質が変わってきたのです。

リッチー先生:どのように変わってきたのですか?

あおいさん♪:みなさんいい人なんです。理解力があって、素直さがあって、品があるというか。私が望んでいたようなクライアントばかりなんです。

リッチー先生:それはいい変化ですね。

あおいさん♪:はい。毎日が本当に楽しいです。

リッチー先生:料金も以前よりも高く設定したんですよね?

あおいさん♪:そうなんです。実は、最初は料金を高くすることに不安があったのですが、新しい契約書では料金を変更できるように規定していたので安心して変更できました。そこで、リッチー先生に教えていただきたいのですが、契約書を変えて料金を高く設定したことによって、クライアントの質が変わったのはなぜなんでしょうか?

リッチー先生:おそらく、あおいさんの個性や魅力に引き寄せられるクライアントが増えたからでしょう。

あおいさん♪:私の個性や魅力?

リッチー先生:それだけではありません。あおいさんが提供するサービスの質、その質に見合った料金、それらが誠実に明示されている契約書や同意書。たとえ高価格であったとしても安心して契約できるコーチであるということです。

あおいさん♪:でも、以前の私と今の私ではそれほど変化はないはずです。

リッチー先生:もちろん、以前のあおいさんが安心できるコーチではなかったという意味ではありません。そうではなくて、クライアントの視点では安心感のあるコーチに見えているということです。

あおいさん♪:そうなんですか。

リッチー先生:クライアントは失敗したくないんです。自分が選んだコーチが最良だと思いたいんです。だから不安を感じるコーチにお金を払おうとは思いません。

あおいさん♪:それは分かります。

リッチー先生:もちろん騙されるとかそういう話ではありませんよ。クライアントからすると、お金を払っていい相手なのかどうか常に考えています。契約して後悔したくはありませんからね。大切なお金を使うわけですから、納得できなかったり不安があれば契約しないでしょう。でもあおいさんは、クライアントが抱えている不安を取り除くことに成功したのです。

あおいさん♪:なぜ不安を取り除くことができたのでしょうか?